ベアリングに種類がある理由
ベアリングには様々な種類があり、使用用途に応じて使い分けます。
ベアリングが受ける負荷や動作条件などを勘案し、用途に適する形状や素材などのベアリングを選ぶことで、その能力は最大限発揮されます。
ベアリングの使用用途が広がるにつれ、用途に合わせたベアリングの種類も数多く生まれてきました。
現在では、様々な種類のベアリングから、使用用途に合ったベアリングを「選ぶ」ことで、
多種多様なシチュエーションに対応することができるようになってきています。
ベアリングの構造について
ベアリングの基本的な構造については、別コラム「ベアリングとは? 基本的なベアリングの役割をおさらい」で紹介させて頂いておりますが、ベアリングは「軌道輪」「転動体」「保持器」から成り立っており、転動体が転がりながら軌道上を回ることで、荷重を支えながら滑らかに回転させるという、ある種相反した2つの物理法則を技術的に両立させています。
(ベアリングの構造 代表例 図解)
ベアリングの分類について
ベアリングは大きく「転がり軸受」と「滑り軸受」に分けられます。
「転がり軸受」とは転動体と呼ばれる玉(またはころ)により、物体同士の摩擦を転がり摩擦に変換することで、摩擦係数を減少させる構造を持った軸受のことを指します。
「滑り軸受」とは油や空気などの流体を物体同士の間に介在させることにより、摩擦係数を減少させる構造を持った軸受のことを指します。
「転がり軸受」の大きな分類として、荷重負荷方向による分類と、転動体の種類による分類があります。
転動体の種類による分類
転動体はベアリングの内部に組み込まれている玉またはころを指し、転動体が玉である物を「ボールベアリング」(玉軸受)と呼び、転動体がころである物を「ローラーベアリング」(ころ軸受)と呼びます。
それぞれに特徴を持っており、ベアリングの使用条件や用途をふまえて、適した形式を選定します。
荷重方向による分類
軸やハウジングの回転軸に対して垂直方向にかかる荷重(=ラジアル荷重)を受ける用途に適した構造を持つベアリングを「ラジアルベアリング」と呼び、回転軸に対して平行方向にかかる荷重(=アキシアル荷重)を受ける用途に適した構造を持つベアリングを「スラストベアリング」と呼びます。
実際には、純粋な垂直または平行な荷重で使われることはほとんどなく、ラジアル荷重とアキシアル荷重を合成した荷重を受けることになりますが、主となる荷重方向からベアリングを選定します。
それぞれ、使用用途や目的に応じてさらに細かく分類されますが、代表的な種類を次にまとめます。
ベアリングの分類と形式
ベアリングを選ぶときのポイント
様々な種類のベアリングの中から、最適なベアリングを選ぶということは容易ではありません。ベアリングを選ぶ際に重要なポイントは、どのような条件の下で用いて、どのような性能をベアリングに求めるのか、前提条件を明確にすることが最も重要です。
極端な例をあげれば、高温の炉などに使われるベアリングは、音響や高速回転性能は無視し、高温性能に特化した総ボール型のセラミックベアリングが用いられたり、競技用のベアリングなどは1度の使用で交換する事を前提とし、耐久性能は度外視したベアリングが用いられたりすることもあります。
ベアリングを選ぶ際には、ベアリングに求める性能に優先度を決めて、最も関連する事項から順に決めて行く方法が一般的です。
残念ながら、現在の技術では完全無欠のベアリングというのは存在しません。
ベアリングに求める性能に優先度を決めて、実使用上では必要のない部分や、影響が少ない部分の性能は選定要件から除外して行く事も時には必要となります。
例えば、常温で運転されるベアリングにフッ素グリースなどの高温対応グリースを用いてもオーバースペックとなり、価格上昇分に見合ったメリットは享受できません。
使用条件に対して、トータルバランスが取れたベアリングを選ぶことが重要です。
選定例について、以下に選定フローを表します。
選定時に考慮する項目の参考としてご覧ください。
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ベアリングの種類や選び方について、ご紹介しました。
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