1.規格品とカスタマイズ品の違いについて
規格品
カスタマイズ品
ベアリングは日本語では「軸受」と呼ばれ、回転する軸などの摺動(しゅうどう)部分を支える機構部品です。
機械の心臓部とも言える重要な部品であり、その選定は性能や耐久性に大きな影響を与えます。
ベアリングには「規格品」と「カスタマイズ品」の2つの大きな分類があり、それぞれの特性を理解することが重要です。
- 規格品ベアリング
- カスタマイズベアリング
本コラムでは、両者の特徴について紹介します。
2.ベアリングの規格品について
2-1.規格品ベアリングとは
JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)などの規格に従い標準化された寸法や公差に基づいて製造されております。
国際規格で主要寸法が統一されていることから、互換性が高く、識別にはJIS規格に準拠した呼び番号が使用されており、必要な軸受を選定選択することができます。
ただし、適切な選定と使用が重要であり、用途に応じた正しい規格品の選定が機械の性能と寿命に大きく影響します。
2-2.サンヒルの規格品ベアリング
サンヒルは深溝玉軸受をメインに取り扱っており、規格品として日本向け仕様内容を加味した標準軸受「CHL」ブランドを中国メーカーと共同で製作し提供しています。
当社では標準軸受として取り組んできた深溝玉軸受についてカタログを作成しております。
カタログには深溝玉軸受を前提とした軸受全般に共通する技術事項を解説し、一般的な軸受選定の手順に沿って記載してありますので詳しく知りたい方は下記よりご覧ください。
3.カスタマイズ品ベアリングについて
3-1.カスタマイズベアリングとは
ベアリングの形状をJIS等の規格外で製作したベアリングをいい、特定の用途や顧客の要求に応じて製造されるベアリングです。
これらは規格品とは異なり、特定の用途に合わせた寸法や材料、仕様に基づいて製作されます。
適切に設計されたカスタマイズベアリングは、コストダウンや、機能性向上等のメリットが挙げられます。
しかし、その設計には専門知識と経験が必要不可欠であり、メーカーとの緊密な連携が重要となります。
3-2.サンヒルが提供するカスタマイズ品ベアリング
サンヒルでは、3つの主要なカスタマイズ手法を提供しています。
①形状のカスタマイズ
多数のカスタマイズベアリングを製作してきたノウハウを活かして、お客様の要望に合わせた最適な形状を対応、提案させて頂きます。
また、軸やハウジングに合わせた内外径の寸法の変更や内輪のみの幅を変更してボス付きに、ベアリング外径に樹脂を成型するなど、大手メーカーでは難色を示されるような対応も、当社では小ロットから対応することが可能です。
②材質のカスタマイズ
当社では市場で入手可能な材料を用いて、材質をカスタマイズすることが可能です。
例えばベアリングにはステンレス材だと通常はSUS440Cを用いることがほとんどですが、耐食性に重点を置きたいなどの要望に応じて、SUS304などの材料を用いた製作も可能となっています。
また、あえて外輪の硬度を下げて耐衝撃性を向上させる等の熱処理条件の変更であったり、耐食性向上のための表面処理追加など、お困りの内容をご相談頂ければ、当社のノウハウを基に最適解の検討をさせて頂きます。
③ベアリング内部仕様のカスタマイズ
ベアリングの機能を左右するベアリング内部の仕様についても、お客様のご要望に応じてカスタマイズすることが可能です。
例えば高荷重で使用されるのであればグリースを極圧添加剤入りのグリースに変更、 グリース漏れが懸念されるのであればシールの形状を変更、ベアリングをハウジング等に圧入するのであればラジアル内部隙間を大きくする等、様々な要求に対して、当社の経験を活かした最適な提案をさせていただきます。
技術知識を持つ営業担当が詳細にヒアリングを行い、当社の技術部門と連携しながら最適なベアリング使用選定のお手伝いをさせて頂きます。
4. 規格品とカスタマイズ品の選び方
4-1.選定時のポイントについて
ベアリングには様々な種類があり、使用用途に応じて使い分けます。
ベアリングが受ける荷重負荷や動作条件などを勘案し、用途に適する形状や素材などのベアリングを選ぶことで、その能力は最大限発揮されます。
特殊な要求がない限りは、規格品を選択することがコストや入手性においても最適になる場合が多くあります。
特殊な要求の極端な例をあげれば、高温の炉などに使われるベアリングは、音響や高速回転性能は無視し、高温性能に特化した総ボール型のセラミックベアリングが用いられたり、競技用のベアリングなどは1度の使用で交換する事を前提とし、耐久性能は度外視したベアリングが用いられたりすることもあります。
様々な種類のベアリングから、使用用途に合ったベアリングを「選ぶ」ことで、多種多様なシチュエーションに対応することができるようになってきています。